「ウェブ進化論」にもちょっと紹介されていたThe wisdom of crowds(邦題:「みんなの意見」は案外正しい)、ようやく読み終えました。
この本のテーマは、十分な情報を得られている集団が一定条件を満たすとかなり正しい判断を下す、というものです。"一定条件"というのを簡単に書くと
多様性:集団がいろんな価値観を持っていること
独立性:他人の判断からに流されずに判断できること
分散性:いろんな専門性を持っていること
といった3つの要素から成り立つと著者はしています。
この一見、正しいのか正しくないのかよくわからない集団の知恵(The wisdom of crowds)について、スポーツ、政治、グーグル、経済などなどたくさんの分野から十分すぎるほどの事例を取り上げながら鮮やかに解説しています。
逆に、十分な情報を得られない、独立性が保証されない、専門バカばかりがそろっているといった場合には、必ずしも正しい判断ができずむしろ間違った判断を下すことが多い、という事例も数多く挙げてありました。第11章に出てくるバブルが起きる理由はなるほどーでしたし、人はなぜ株を売り買いするのか?ということに言及したCNBCの下りは最高に面白いですね。匿名性が高い暗闇での集団心理というのは、2ちゃんのことをさしているような気もしました。
帯にも書いてあるように価値観をひっくり返されるようなことがたくさんありましたが、翻訳者の方のあとがきがこの本をうまく表現している気がするので、こちらを読んでから買って読んでも良いと思います。
おもしろい一冊でした。
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