新しいキーワードとして、グローバリゼーション3.0(かなりフラット化した感の世界の状態を表す?)というのを知りました。ここのところ読んできた「ウェブ進化論」(Googleによるフラット化)「個のダイアローグ」(フラット化しつつある、特にジャーナリズムや個人の立ち位置について書いた本)につながる部分が多くて、この本が一番網羅性が高いかもしれません。それぞれ、同じテーマを違う面から書いている語っているようです。やっと上巻を終えたので、下巻を読み始めています。
まずは、ますます進むアウトソーシング•オフショアリングの話。インドの例を見ると、ソフトウェアやコールセンタなどビットでやり取りが可能なサービスは、どんどんアウトソースされていることが分かる。アトムもかなり中国にオフショアしている。中国の中でもどんどん労働力の安いところに工場が移りつつある(なんて言えばいいんだろう、ドメスティックアウトソーシング?)。この加速的な動きはしばらく衰えそうにない。
以下、引用部分とコメント
page57 大連市 夏市長の台詞「中国人の英語は全体としてインド人の英語ほど上手ではありませんが、なにしろ人口はこちらのほうが多いですからね。(だから)英語が流暢で優秀な学生を選り出せばいいだけです。」→こういうのって、力技、いやいや人海戦術(もっといえば、人口戦術か)ですよね。
page58 同上「いまはあながたがアメリカが設計者、建築家です。発展途上国は煉瓦を積む職人です。でも、いつの日か、われわれも建築家になります。」→問題はいつその日が来るか?もうきているのか?
ホームソーシング ジェットブルーの事例
→なかなか進みそうで進まなかったテレワークとか在宅勤務のいい例となって、どんどん広まるでしょうか?日本型の勤務体系だとやっぱり無理かな?page127 AJAXを新しいスタンダードとするのは違和感あり。AJAXは単なるユーザインタフェースの表現方式と位置づけたほうがいいと思います。AJAXを使った便利なインタフェースを提供している企業•ウェブサイトはたくさんあるけれど、それがフラット化と何が関係があるのか不明。
page136以降の「アパッチ」はカタカナで書かれるとすごく気持ち悪いです。Apacheにしてください。HTTPとかFTPとかローマ字なのにこれだけなぜ?
page140 オープンソーシングって始めて聞きましたが、一般的な言葉ですか?オープンソース(みんなで修正できるソースコード)という名詞形だと、ingは付かないと思います。
page147の「インターネット技術タスクフォース」ってのも直訳でしょ?IETFって書いて訳注して欲しいです。
page174 ブログ半球ときましたか...これまたびっくり翻訳。ブロゴスフィア(blogosphere)で通じると思います。
page198 ルイ•パスツールの言葉「幸運は心構えのできた人に見方する」
→いい言葉ですね。ぼけっと待ってるだけじゃ、幸運は訪れないってことですよね。page199 アフリカの諺の一部「日が昇ったら、走りはじめたほうがいい」
→これまたいい言葉。生きるためには走り続ける必要がある世界に生きていることを改めて認識したほうがいいのかも。この本によると、「中国は足の速いライオン」らしいです。page238 インソーシングの事例 UPS
UPSは単なる運び屋ではなくて、顧客の戦略的なロジスティックの一部をまかなっている。一番驚いたのが、PCの修理を実施している部分。これがメーカ、ロジ、顧客すべてにとって有益となっている。モノを運ぶ+αという戦略的なパートナーシップ。page306 「いまや、『インドにいなければならないのか』ではなく『インドいられるかどうか』が悩みになっています」
→すでにインドでIT関係の仕事に就くのは大変な競争下にあるそうで、インドで就職するのが難しくなっているそうです。こういうのを読むと大変なことが起きているんだな、というのが良く分かります。page332 「しかし、社会的な結びつき、信仰、民族としての誇りなど、市場とは無関係な価値観をもたらしてくれるゆえに大切にされている社会制度や慣わしや文化や伝統が、非効率そのもののである場合もある。グローバルな市場と新しいコミュニケーション•テクノロジーがこうした差異までフラット化したら、重要な物事が失われるおそれがある。(中略)グローバル市場に供給できない価値観を守るために、どこまで流れに逆らえばよいのか?摩擦の原因のなかには、それらをフラット化しようとするグローバルな経済に逆行しても守らなければならないものがあるはずだ。」
→グローバリゼーションの負の面を端的に表現しているかも。いびつなフラット化が進んでいるのかも。関係ないけど、Googleが中国政府に屈した件を思い出しました。同じ単語を同じ言語で検索して、いる国によって結果がまるで違う。こういう不平衡なフラット化の行く末はいかに?page373 (元Netscapeのマーク・アンドリューセンの言葉)「人間の欲求とニーズは無限だと思うことだ。そうすれば、生まれる産業も、始めるビジネスも、やる仕事も無限にある。人間の想像力だけが、それを制約している。」
→ちょっと勇気づけられる言葉なんですが、欲求はプラス方向だけじゃなくてマイナス方向もかなりあるってことを忘れないようにしないといけないかなと思います。
最近のコメント